いくつもの疑問点

「え!?それでは…ここ2日で魔法力が高い子供だけでなく、
 大人も数名行方不明なんですか?………標的が…変わった…?」
どう解釈して良いか分からなくなるタロ…
「そうなんだよね〜、前は子供だけだったけど、今度は大人だってさ。
 世の中怖くなったもんだ。ま、魔法力無いアタシには関係ない話だけど☆」

「しかし、子供であれば抵抗するにも限度があるので
 さらうには好都合かもしれませんが、大人一人……
 ましてや魔法力の高いモノをさらうなど…そう容易くは無いハズ…
 現に……私の近くでもさらわれた子がいまして…
 その場に居た者の証言によると、一人の少年だったというのです…。。」
「え!?少年が人さらいをしてるって事!?何の為に!?」驚くサクラ。
「ええ、それが分からないんです。
 さらう理由も…何もかも歯車が合わな過ぎる…」
頭を抱え込むタロ。それを見かねたサクラは明るく振る舞う。

「んでもさ!タロさん。
 分かんない事をずーっと考えててもさ〜、頭どうかなっちゃうよ?
 何か…どう言ったらいいか分からないけど…んー…違う方から見てみる…
 んー……やっぱダメ。ウソ。上手く言えない、あっはっは!」
自分の考えがまとまらず、その自分がおかしくて大声で笑うサクラ。
それにつられて笑うタロ。
「ふふふ…。サクラはいつも明るくて良いですね…
 貴女を見てるだけで元気になれそうです。」
そう言われて照れるサクラ。
「えっへっへ…タロさんにそう言われると嬉しいなぁ〜。
 んじゃ、もっとその事について情報集めとくからさ、明日にでも寄ってよ♪」
「ええ、いつもありがとう。それでは、また来ます。」

ゆっくりと立ち上がり、魔法で風の様に去るタロ。
「いよっし!いっちょ頑張るか!」サクラはぐいん!と飛び起き、
目の前の広すぎる海をただただ真剣な目で見つめていた。
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港町のサクラ

タロは一旦家へと戻り、気を集中させた。
先程話し合っている途中、かすかにアンディのニンフが反応した様に思えたからだ。

「アンディ…。。気づいて下さい…。。」祈る様に集中する。
しかし、タロの想いもむなしくアンディのニンフからはうっすらとしたモノしか掴めなかった。霧のかかった様な感じ…。
これはアンディが眠っているのではなく、誰かに阻まれている状態と言った方が正しいのかもしれない。

これ以上は無理だろうと思い、移動をするタロ。
向かった先は、『デルフュ』より一つ山を越えた港町『テサロ』。
ここは盛んな町であり色々な国から船が着く、よって情報がよく集まるのだ。
この町の情報屋『サクラ』は気前・腕前の良いネーちゃんである。

「お久しぶりです。元気でしたか?」雲が高い位置にある良い天気。
サクラは屋根の上でポカポカと日光浴をしていた。

「うお!タロさんじゃん!どったの〜?久しぶりぃ〜☆」
ガバッ!と起きあがってタロに近寄る。

「最近の事についてお話を聞きに来たんですが。お時間ありますか?」
「おう!今、アタシ忙しそうに見えた?」ドスンと腰を下ろしニヤリと悪ぶって笑う。
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「ここは誰も居ませんし、ココでお話しましょうか。」
屋根の上での密会。
内容とは裏腹に、空だけは青く澄んだ色をしていた…。。

旅の始まり

「え?んじゃ、レオも19!?19で護衛!?」納得いかないキーツ。
「僕は22です…」
「だろー!?!?!……え?レオ、、何?ダブリ?」余計な事を言う。
タロが口を挟む
「いえ、アルテが飛び級なんです。レオも優等生でしたよ。」
「じゃ、アルテは相当な優等生だったと…。。」
世の中の深みを感じた26男キーツ。

一通り仲間の紹介等が済み、本題に入る。
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「まず、あなた達と私は別行動をします。
 連絡はキーツのニンフで行いますので、キーツは常にニンフを
 気にかけて下さい。それか、出来るだけ自分たちの居場所を鮮明に想う事。
 私がその送られてくる想いによって場所が特定出来れば、
 私がそちらに移動する事が出来ます。」
「で?アルテ達は何処へ向かえばいいんですかぁ?」
「そうですね、まずは隣町に私の弟子『サジタ』が居ますので
 そこで物資を調達して下さい。」

そう言って話がまとまった後、タロと5人は違う方向へと分かれて進んだ。

新たな仲間アルテ

一通りの説明をし、アルテに確認をする。
「…という事ですが…協力してもらえますか?」
「んも〜☆毎日毎日暇で暇で!お酒しか楽しむモノ無かったのぉ〜!」
「遊びでは無いんですよ?」そこは厳しく叱るタロ。
「あ…ごめんなさい。。。でも!アルテが役に立つって事でしょ!?」
「ええ、弓の腕で貴方の右に出るモノは居ませんからね。」おだてるタロ。
「いや〜ん☆嬉しい〜!アルテ頑張る!Ψ(`∀´)Ψ」

話がつき、セレンの家に戻りつつアルテの旅支度をしていった。

「ただいま帰りました。」「おはよぉ〜ございまぁ〜す。」
タロの後ろからオズオズと家の中に入るアルテ。
「あっ…アルテ!」レオが見つけたと同時に叫ぶ。
「え?」呼ばれてビックリするアルテ。しかし、レオを見た途端…
「や〜ん☆レオ〜〜!!」駆け出すアルテ。
しかし、側に居たチコリに気づく。。
「きゃーー!!!!チコリ様ぁ!!??」タロの元まで下がるアルテ。

その一部始終を見て不安がったキーツは言う。
「……タロさん…。。本当に弓の名手なの?その子…(;;=Å=)」
「はい!彼女の弓はスゴイんです!」とタロではなくレオが答える。
「おん?何でレオはそんなに詳しい訳?知り合いみたいだし…」
訳が分からないキーツ。

タロがまとめる
「彼女はアルテ。レオと同級で、私の元生徒です。」
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「どっ…同級??!いくら見たって15くらいだぜ!?この子!」

「え〜っと。。一応…19歳ですぅ。。。σ(TεT;)」
「じゅっ…19ぅ!?!??!?!(;;゚Д゚)」
世の中、広いモノだと痛感したキーツだった。。。

目覚めの酒場で…

町はだんだんと目覚め始めていた。
パン屋からは、いつもの美味しそうなニオイが町中に広がっていた。

「それでは、もう一人の仲間を連れてきますので、
 ここで待っていて下さい。」と言い残して出てきたタロは爽やかな朝とは
うって変わった酒場へ向かっていた。

「おはようございます。」酒場の店主に挨拶をするタロ。
「ああ!タロ様、おはようございます!どうしたんです?こんな朝早くに?」
驚く店主。
「いえ、ちょっと急用がありまして…」
「そうなんですか!
 アイツなら地下でいつものようにグデグデになってますぜ(`Д´)o
 ちったー、ビシっと言ってやって下さいよぉ〜!がははは!」
一礼をし、地下へと降りるタロ。何度来てもあまり良い空気とは言えない。
タバコの煙が蔓延する部屋の隅のテーブルで、うつぶせになっている者が居る。

テーブルを2・3度コツコツと叩く。
「アルテ。朝ですよ、アルテ。」
そう言われ、ぼへぇ〜とした顔を上げタロを見つめる。
15・6歳くらいの子供の様な小柄の女の子である。
開口一番、「あ…。タリョへんへー。。」……ダメダメである。。
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タロは諦めてアルテに向かって指を指す。指されたと同時に頭をブルブルする。
眠気を取る魔法の様で、アルテの目が輝き出す。
「おはよーございまぁーす☆タロせんせ♪(`∀´)」
どうやら起きたら起きたでテンションが高すぎの様だ。。

誇り

「ぼ…僕は…。。」悩むレオ。
「ええ、分かっています。簡単な事ではありません。
 残るのであれば、王には私から言っておきますので、城で待っていて下さい。」

それでもまだうつむいているレオ。
「いや…僕は…」
「?」いつものレオと違う態度に不思議に思うタロとチコリ。
「僕はチコリ様の護衛です!
 何処までもチコリ姫を守らなければいけないんです!」
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レオの決意が皆に伝わる。タロは感心して言う。
「レオ…、貴方の剣術は素晴らしい。だが、ずっと足りないモノがあった。
 何だか自分でも分かりますね?」

そう言われてレオはポツリと言う。
「……誇り…?」
「そうです、貴方が姫の護衛につけたという事は大変素晴らしい事なんです。
 しかし貴方は自信が持てずに自分の仕事を誇りに思っていなかった。
 そんな護衛では、チコリ様も頼りないと思ってしまいますよ?」
レオはチコリを見る。チコリはニッコリと笑う。
「貴方を信じて連れてきて良かった☆(^v^)」

チコリの固い決意

今までの状況を全て聞いたレオは、早朝から今に至るまでを説明し始めた。

「先生がチコリ様を連れて来られて、しばらくして姫が目を覚ましたんです。
 そして…僕を呼んだと思ったら……ううう…」
思い出しただけでも恐ろしい事が起こった様だった。
だいたい何が起こったか想像は出来たが、タロがチコリに聞く。
「それで、チコリ姫はどのような気持ちで出てこられたんですか?
 貴女の決意によっては強引にでも連れていきますが、
 中途半端な思いつきでの行動であればここに置いて行く事になります。
 これからは遊びでは通用しない世界です。」
厳しいようだが、それほどの決意を余儀なくされている時なのである。
チコリはそんな中、何の迷いも無く答える。
「遊びじゃないのも分かってる。
 私が気軽に外に出る事が出来ない事も分かってる。
 でも、私はイヤ!
 アンディみたいに他の子もどんどん連れて行かれちゃうんでしょ!?
 ……それに、キーツに攻撃魔法が来た時、私何も出来なかったわ…」
「でも、とっさに魔法は唱えたのでしょう?」すかさずタロが言う。
「…ええ、でも…最近出来なくなった魔法が多いの…。今回もダメだった…」

タロはチコリの手を取る。
「魔法が出来なくなった訳ではなく、この指輪で制御されてるだけなんです。」
「え?」チコリが顔をあげる。
「しかし、大きな魔法を使う時だけ外して下さい。
 貴女の存在がバレては厄介ですから…」
「それじゃぁ!」嬉しそうな顔をするチコリ。
「合格だってよ。
 オレもお前には驚かされるぜ、こんなチッコイのにしっかりしてら〜」
合格だと言われて嬉しくなったチコリはタロに抱きつく。
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そのままタロはレオの顔を見る。
「レオ、貴方はどうします?
 ここまでの話を聞いて、まだチコリ姫の護衛を続けますか?」

置いてけぼり

「!?」ビクッとする3人。セレンは慌てて玄関へ行く。
ドアを開けたセレンから言葉は出てこなかった。

セレンの声が聞こえない事を不思議に思った2人も玄関へ向かう。
「!!」…セレンと同様、言葉を失う2人。

そこには、旅の準備万端のチコリが立っていた。
後ろに泣きそうな顔の護衛レオを連れて……。
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姫がこんな時間に町中をうろつくのは護衛付きでもあり得ない話なので、
セレンは素早く家の中に通す。

「どっ…どうなされんたんですか!?」セレンはドアを閉めたと同時に問う。

チコリは少しふてくされた様に答える。
「私を置いてこうとしたでしょ…。。」

「え!?」3人とも驚きを隠せないまま唖然とする。

「いえ、本当は一緒に行って欲しいと思っていたのですが、やはり…
 一国の姫である貴女をお連れする事は無理だろうと話していた所なのです。」
「ほら!やっぱり!置いてこうとしてるじゃなーい!」少し涙ぐむチコリ。
「違うってんだろ!連れて行きたくても連れていけない事情ってもんが
 あるっつってんの!連れて行けるなら…タロさんもこんなに悩まねーよ…」

「あ…あの…どなたか…状況を詳しくお話しして下さいませんか…」
いつでも置いてけぼりなのはレオの方であった…。。

指輪の秘密

「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?!?!?!?(゚Д゚;;;)」
驚くキーツとセレン。
「え!?あのチコリ!?うそー!?」
「それでは、チコリ姫は狙われなかったのですか!?」
セレンは思い出して問う。

二人を落ち着かせて初めから説明をする。
魔法力が高い子供が次々にさらわれていく中、チコリの魔法力を知っていた王は
一国の姫が狙われる事を恐れ、タロに直々に相談していたという。
極秘でチコリの指輪に魔法をかけ、一定量にとどめていた。
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しかし、そうこうしているうちにアンディの魔法力が上がり、
次はアンディの対策に追われていたという訳である。

「じゃ、始まりはチコリだったって事か…。。でも姫さんじゃなぁ…
 いくら仲間に欲しいっつっても王様が首を縦に振んねーよなぁ〜」
「その通りです。…しかし、この国であれほどの魔法センスを持った者は
 他には居ないんです。。」

まだ町が目覚めるには早い頃、3人は仲間の確保で行き詰まっていた…。
しかし、次の瞬間…

ドンドンドン!!ドンドンドン!!
玄関のドアを強く叩く音が響いた…

足りない要素

「あれ?どうしたんすか?何か考え込んでるみたいな感じだけど…」
浮かれていたキーツがタロの雰囲気に気づく。

「ええ、私が同行出来れば良いのですが…」
「え!?一緒に行かないんすか!?タロさん!」
驚くキーツ。セレンも不安になる。

「一緒に行動をしたいのですが、今回の事で少し調べたい事があるんです。
 そこから何か得られるかもしれないので、別行動を取った方が早いと
 思ったのです。しかし、そうなると人数的・戦力的に不安定ですね…」
キーツ・セレン、二人共がうなずく。
「私の元生徒の中で弓の名手がいます。その子の協力を得ましょう。
 それと…私的には攻撃魔法を使える者が欲しい所なんですが……」

タロが迷っている時に何かを思い出したキーツ。
「あ!ほら!タロさんがリストアップした人の誰かに頼めば!?」
「…ええ、初めはそう思ったのですが…
 攻撃魔法というのは防御魔法と違って技術が伴います。
 リストの中でそれが出来る方は…とても高齢な方しか居ないのです…」

考え込むキーツ。「誰か………居ないんすかねぇ…?」
困った様子のタロ
「……居ない…事は無いのですが…少々難しい人物なんです…」
「え!?居るの!?誰!?」
一筋の光を見つけたキーツ。だがタロの口調は曇り模様。

「……チコリ姫です…。。」
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